私の転機になったのは、それまでの裁量的なやり方に、言い換えればその場の思い付きと感情に流されて売買し、結局は損をする。というパターンに気付いたときでした。何かやり方を変えないといけないと思い始めました。幸い、コンピュータ系の仕事でその手の情報には強かったので、大手の投資銀行(「銀行」という名前が付いていますが、実際は証券会社です)のように、コンピュータをトレードに活用できないか考え始めました。
あれこれ調べているうちに、時系列のデータのパターンや指標をコンピュータで処理して、トレードに役立てている人たちがいることを知りました。
そこで自分でもExcelを使ったり、プログラムを作ったりして、ある指標が一定のレンジを超えた、あるいは下回ったとき、もしくは別の指標も組み合わせて、それらの条件が全部揃ったらポジションを建てることにしました。いくつか時系列の株価データをアップしてくれているサイトから、CSVデータをダウンロードして上場銘柄の全データを揃えました。約4千くらいありました。まずはYahoo!ファイナンスからその日の株価の終値を引っ張ってきて、既存のデータファイルの末尾に1行追加するプログラムを作りました。
またバックテストといって、過去数年分のデータをもとに、もしその指標に沿ってトレードしたら何勝何敗で利益または損失がどのくらいのシミュレーションをします。それで良好な成果の出たロジックを実際に運用するのです。ところが、株の動きの性質やトレンドは時期によって変わったりします。またかなり安定的だと思われていた銘柄でも、事業環境が激変したことで、急にトレンドが変わることがあります。
たとえば記憶に新しいのは、3.11の大地震と津波のときです。多くの銘柄がこれでもかと下がる中、地震ということで復興に関係ありそうな業種は意外に粘っていたり、あれほど鉄板と言われ、保険会社や年金など機関投資家や個人でも資産家が定期預金代わりに保有していた東京電力株が、これまで見たことないような下落と乱高下に見舞われました。このようなアクシデントはシミュレーションとかでなはどうにもならないので、一定の損失に達したら損切りする、という自分のトレードルールを確立して、それに従うしかありません。そういう意味でも、投資のルールを明確にして、それに従うというのは不可欠だと思います。これまで説明した資金管理、リスク管理というのも広義のシステムトレードだと自分では考えています。
こうして、毎晩夕飯後に(1)Yahoo!ファイナンスからデータをダウンロードしてくる。(2)ダウンロードしてきたデータをそれぞれの銘柄別にデータファイルに追加する、(3)各データの移動平均や標準偏差を算出する、(4)移動平均から急激に値段が落ちるとか、標準偏差が数学的に通常の範囲内を大幅に超えた動きがあった銘柄を画面に出力する、という自作プログラムを半年くらい毎晩走らせました。さすがに4千ものデータファイルに数種類の計算をすると、1時間半くらいパソコンが反応しなくなりました。
それでも時々買いサインが出て、翌朝成り行きで買いを入れて、1~2週間くらい保有してその間に10%戻ったら利確して数万を得る、あるいはあらかじめ決めておいた期間持ち続けて、その間にあまり戻らないようなややプラスで、または損切りで決済しました。もちろん買値より一定以上(たとえば10%以上乖離するとか)下落したら損切りするようにも注意しました。
日経平均が大幅に下がるような日以外はあまり東証一部の銘柄は引っ掛からず、対照的に新興銘柄のJQSや名古屋証券取引所(名証)の銘柄がよく引っ掛かったことが印象に残っています。結局半年くらいやり続けて、28万円のプラスでした。20冊くらい買ったシステムトレード関連の本代は、その期の確定申告で必要経費で落としました。
今は自分の取り扱う銘柄には、東証一部で日々の取引高が十分多く、流動性が高いもの、言い換えれば仕手筋とかが入ってきて価格が乱高下する可能性が低い銘柄に対象を絞っているので、当時作ったプログラムはお蔵入りです。しかしながら、この半年間で学んだテクニカル分析の考え方自体は、今でもポジションを新規に作るときの参考にしています。
株価はランダムに決まる、という考え方に基づくと、株価の動きには数式で表せるような法則性はないはずです。どちらかというと、素粒子のように確率的にしか表現できない世界だと今では思っています。ではシステムトレードは無意味かというと、そのようなことはないと思います。むしろコンピュータを使うという意味でなく、自分自身の売買のスタイルや執行に関するルールを明確にして、システマチックにトレードに取り組むというアプローチであれば、思い付きと感情によるトレードより、勝率を高め、負けを限定的にすることができると思っています。
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