2014年2月27日木曜日

空売りを理解する ~下落で利益を出し、連続性のある売買で利益を広げる

何だか運良くサヤ取りで利益が出たので、昨日はサヤ取りの解説をしてしまいました。しかしまずは空売りの仕組みが分からないと、何で下落から利益を出せるのかわからないでしょう。普通の買いと空売りを組み合わせて、上がっても下がってもショックを和らげるのがサヤ取りのメリットなのですから。

ということで、株は買うだけでなく売ることもできる、その考え方、やり方を噛み砕いて説明したいと思います。

株や金融資産の変動で利益を出すには、普通は安く買って高く売ります(株の配当やFXのスワップといった静的な利益もありますが)。たとえば200円の株を千株で買い、それが300円になったときに決済して売れば、その差額100円×1,000で10万円の利益になります。逆に100円に下がると、-100円×1,000で10万円の損失になります。決済しないと含み損のまま持ち続けることになります。

200円が100円になったときは、アプローチは3種類あります。1つはその前に、たとえば10%とか20%下がった時点で損切りと決めておいて、下がったらいったん損切りして撤退する。これが一番オーソドックスかもしれません。

あるいは100円まで下がることが、ヒストリカルに見て想定内であれば、100円でナンピンして平均値を150円にします。(200+100)÷2で150円になります。株価が150円まで戻れば、無傷で逃げることもできます。

あるいはそれ以上下落する可能性は低く、資金にも余裕があれば、100円を2枚買い増してナンピンするという方法もあります。このとき(200+100+100)÷3で平均値を133円にすることができます。150円より早く逃げられる、あるいはプラスにできる可能性が高くなります。

もう1つのやり方は、下落に合わせてその銘柄を空売りすることです。過去のデータを見て、たとえばここ数年上っても300円ちょい(320円とか330円前後で頭打ちになるイメージです)の銘柄が300円を超えてきたら、高値圏に来たということで空売りを入れます。

これを商売に例えると、あるものを問屋から掛けで買って(株だと貸し株という仕組みがあるので、「借りてきて」というのが正確な表現ですが)自分の顧客に300円で売ったということで、千株単位の株であれば、まず300円×1,000株=30万円が売れた瞬間に売上として自分に入ってきます。

それから株価が順調に下落してきてもし200円で決済したとすると、掛けで問屋から買った品物を、まず1)顧客に30万円で買ってもらって、2)その後、問屋に20万円の卸値で買掛金を払って決済したと理解してください。30万円が売上として入ってきて、20万円が仕入として出て行ったので、差し引き10万円の儲けが出たということです。

空売りをするときは、現物口座に加え、信用口座を開く必要があります。ここでは多少の投資の経験が必要なので、まずは買い中心で半年とか1年とか売買してから、信用口座を開くイメージです。

また空売りしている間は、貸株料やら日歩(ひぶ、証券会社に1日単位で払う利子)などの費用が掛かるので、少し注意が必要です。年利数%、1日数十円とか数百円ですが、毎日少しずつ端数が減っていくので、精神的には少しキモチ悪いかもしれません。決済時に取引手数料に加え、それまで払った日歩や貸株料が経費として引かれます。計算では10万円儲かっているはずでも、手元に入ってくるのは9万8千X百円、というようになります。

もうひとつ、空売りで注意しないといけないのは、損失無限大ということです。たとえば200円で買った株が1円になったり、あるいは当該企業が倒産して株が紙くずになったとしても、損失はその株を買うときに支払った20万円(200円×1,000株)が上限です。

ところが、空売りの場合、300円で売り始めた株が400円になると損失は10万円です。つまりお客さんからは30万円の代金を受け取ったのに、問屋さんには40万円払わないといけないからです。これが急にその株が人気が出て800円になると、(300-800)×1,000で50万円の損失。万が一仕手戦になって300円が3,000円になったりすると、(300-3,000)×1,000で損失は270万円になります。可能性が低いとはいえ、そうなることがないわけではないのです。

これが動きの安定した重厚長大企業の株にまず絞り込めという理由でもあります。

そんなにリスクがあるのに、なぜ空売りなんてする人がいるのでしょうか。もともとはリスク回避のためのヘッジ(ヘッジというのは、そもそも「両建て」という意味です)に使うというのがあります。

たとえば100円で千株買った株が300円になった。200円×1,000で20万円の儲けが出ます。ここで決済してポジションをゼロにするのが普通ですが、何らかの理由で持ち続けたい場合には、そこで同額の空売りを入れるという手もあります。以下のようなポジションになります。

○現在の価格: 300円
・300円 空売りを入れる
・100円 買い: 100 → 300で200円分の利益

ここからさらに値段が上がると、買いポジションは上昇で儲かるので利益が増えます。反対に売りポジションは上昇で損失になるので、利益が減ります。両方のポジションを合成すると、差し引きゼロになります。このポジションができた時点でそれ以上の利益も出ない代わりに、そこから損失はない状態になります。

たとえば、ここからさらに100円上がったらどうなるでしょうか?

○現在の価格: 400円に上昇
・300円(売り):300 → 400で100円の損
・100円(買い):100 → 400で300円の利益。差し引き200円分の利益

ということで利益をロックすることができます。上級者であれば、ここでもう1枚売りを入れて売りポジションの平均値を350円にして、次に300円に下落したときに100円(50円×2)分の利益が取れるようにしたり、いくつかの派生型へと発展させることができます。以下のようになります。

○現在の価格: 400円
・300円(売り):300 → 400で100円の損
・400円(売り):このタイミングでもう1,000株空売りする
・100円(買い):100 → 400で300円の利益。差し引き200円分の利益

ここで売り玉が2,000株になり、(300+400)÷2で売りポジションの平均値は350円になります。つまり、この後また少し株が下がって350円になれば損失がなくなり、逆に買い玉の利益分が入ります。

○現在の価格: 400 → 350円に下がった
・300円(売り):300 → 350で50円の損
・400円(売り):350 → 300で50円の利益。売り玉同士で相殺して損益はない
・100円(買い):100 → 350で250円の利益

さらに下がって300円になれば、買い玉の利益は元のままで、売り玉の利益も(350-300)×2で100円分になります。

○現在の価格: 350 → 300円にもう一段下がった
・300円(売り):300 → 300で損得なし
・400円(売り):400 → 300で100円の利益
・100円(買い):100 → 300で200円の利益。ポジション全体では100+200で300円分の利益(30万円)

一部ネット証券では、たとえば松井証券が始めた「無期限信用取引」のような例外はありますが、空売りの期限は通常は半年であること、また前述のように売りポジションだと日歩を取られることについては、注意が必要です。

こういう両建てで利益確定するポジション操作は「ツナギ」と呼ばれ、買い玉と売り玉を組み合わせることで利益を確定したり、損失を一定に抑えたり、さらには株価の動きに合わせて買い玉、売り玉を増減させたりして、いろいろな応用ができます。いわゆる本に出てくるような伝説のプロの相場師の技術とは、この玉操作の上手下手だと言われています。


もう1つの売りポジションの強さは、「下り最速」ということです。上がるときは為替や海外市場がいいなど好材料が出たときなどにバァーと上がりますが、流行株や仕手株でなければ、常識的な範囲で上げ止まります。ところが、3.11の地震・津波の直後やその後の民主党政権のまずい対応で経済が失速した時期などは、これでもかと下がり続けました。そこをうまく取れれば、暴落時に大きな利益が得られます。リスクはあるけど、その意味を理解して上手く利用すれば、大きな武器になるのです。

ただし信用「買い」はオススメできません。手持ち資金の3倍まで買えますが、あくまでレバレッジは1倍、できれば0.7倍以下で「現物買い」と「信用売り」の組み合わせでポジション操作をするということです。

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